
“乳がん検診から抜け落ちた世代”だからこそ注意が必要!「若年性乳がん」について知っておこう
胸の病気
皆さんは、「若年性乳がん」の存在を知っていますか?15~39歳の若い世代に発生する乳がんのことを指します。他の世代の乳がん患者さんと治療に対する考え方は基本的には同じです。
皆さんは、「若年性乳がん」の存在を知っていますか?15~39歳の若い世代に発生する乳がんのことを指します。他の世代の乳がん患者さんと治療に対する考え方は基本的には同じです。
今回は、若年性乳がんについて詳しく解説していきます。
若年性乳がんとは?

若年性乳がんとは、一般的には15歳~39歳の間に発症する乳がんのことを指します。この年齢の世代のことを「AYA世代」と呼びます。
AYA世代に発症する乳がんは、基本的に他の世代の乳がん患者さんと治療に対する考え方は同じになりますが、結婚、出産、子育て、仕事など人生のライフイベントを考える時期とがんの治療時期が重なってしまいます。そのため、それぞれの患者さんの意思を尊重しつつ、治療を進めていくことが必要となります。
AYA世代の乳がん発症数はどれくらい?
国立がん研究センターがん対策情報センターが2015年に調査した、年齢別乳がん羅漢数の統計が存在します。その統計によると、乳がん罹患者全体数の87,050人のうち、AYA世代(15~39歳)の罹患者数は4,115人であることがわかっています。[i]
つまり乳がん患者さん全体から見ると、AYA世代の乳がん患者さんは約5%となり、患者さんの絶対数としては少なくなっています。しかし、乳がんの罹患数・死亡者数は年々増加の一途を辿っています。そのため、AYA世代の乳がんの発症数も今後増加していくことが考えられます。
若年性乳がんの特徴
“定期健診から抜け落ちた世代”のため発見が遅れる
15歳~39歳の世代は、乳がん検診の対象とはされていない世代です。
日本の検診制度では、40歳以上の女性は2年に1回マンモグラフィーの検査を受けるように推奨されています。AYA世代は乳がん検診を受ける対象ではないため、乳がんの発見は、自分自身で気づく場合が多い傾向にあります。
そのため、定期健診で見つかる40歳代以上と比較して、発見時に乳がんの症状がかなり進行している場合が多くなっているのです。
ライフイベントを考慮した治療の必要性

AYA世代の乳がん患者さんには、これから妊娠や出産を考えている方、あるいは出産を終えて授乳中など、人生のライフイベントが重なっている方が多くなってきます。そのため、患者さんそれぞれの事情を考慮して治療を行うことが必要です。
例えば、抗がん剤治療を行った際、卵巣機能が停止し生理が止まります。抗がん剤治療後にしっかりと生理が戻る方もおられますが、中には生理が戻らず閉経してしまう方もおられます。閉経などの状況になってしまうと、妊娠ができなくなる可能性が高まります。
乳がん治療後に妊娠の希望があるのならば、薬物治療を行う前に卵子を採取しておき冷凍保存しておく方法も、選択肢として存在します。
よって、ライフイベントの希望を考慮して治療を決定していくことが必要です。セカンドオピニオンなどを利用し様々な選択肢を把握し、納得できる乳がん治療を決めていく方がよいでしょう。
若年性乳がんは「ホルモン受容体陰性の乳がん」が多い
AYA世代で発生する乳がんは、「ホルモン受容体陰性乳がん」や「HER2陽性乳がん」、「トリプルネガティブ乳がん」が多い傾向にあるとされています。
ホルモン受容体陰性の乳がんとは、腫瘍細胞にホルモン受容体が発現していない乳がんを指します。
HER2陽性乳がんとは、腫瘍細胞においてホルモン受容体が陰性で、HER2が陽性である乳がんです。HER2とは、Human E pidermal Growth Factor Receptor type 2(ヒト表皮成長因子受容体2型)の略です。HER2は細胞の表面に存在して,細胞の増殖調節などに関係します。しかしたくさん発生すると細胞増殖の制御が効かなくなり、がんの発症などに繋がります。
トリプルネガティブ乳がんとは、ホルモン受容体・HER2が腫瘍細胞に発現していない乳がんのことです。
つまりこれら3つの乳がんのタイプは、ホルモン受容体によって乳がんが進行している可能性が低いため、ホルモン療法の効果が期待できません。そのため、抗がん剤治療を行う方針を立てられることがあります。
早期発見の一つの手がかり「遺伝性乳がん」

乳がんの5~10%が、先天的な遺伝子異常によるものであるということがわかってきています。
そのため、家族や親せきの状況から、乳がんになる可能性を意識しながら日々生活していくことで、乳がんを早期発見できる可能性があります。
がんの発生を高める遺伝子として、BRCA1・BRCA2という二つの遺伝子が存在します。これらの遺伝子が突然変異すると、がんが発症するリスクが高まるとされています。ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんは、「BRCA1」に変異があったことから、乳がんと卵巣がんの発症リスクを抑えるために乳房と卵巣、卵管を摘出する手術を受けました。
日本においても、乳がんや卵巣がんのリスクが高い方に対し、予防的な切除が行われる動きが出てきています。このように、遺伝子面からの健康管理への認識や理解が深まりつつあります。
若年性乳がんは必ず遺伝子要因で発症するわけではありません。しかし、親族に乳がんや卵巣がん、前立腺がんなどのがん患者さんがおられる場合、乳がん発生のリスクが高まります。
したがって、親族や家族にがん患者さんが多いのならば、自分にも乳がん等のがんを発症する可能性があると意識していくことで、乳がんの早期発見に繋がります。
まとめ
若年性乳がんは乳がん患者数全体の中では、患者数が少なくなっています。しかし、乳がんの定期健診から抜け落ちた世代であるとともに、人生のライフイベントが治療に重なる乳がんであること説明していきました。
その結果、乳がんの発見が遅くなる場合が多くなっています。しかし早期発見できれば、治療の選択肢が増やせたり、妊娠・出産できる希望も出できたりします。
したがって、遺伝子や家系の状況からがんになるリスクが高い方は、日々乳がんになっていないか気を付けて生活していきましょう。その可能性が無い方でも、入浴時に体を洗う際など、積極的に自分の乳房の状況を確認し、早期発見に繋がるように努めていきましょう。
出典
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