乳がん用下着の選び方とは?|治療内容・術後経過で使い分け
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乳がんを患い、今までに経験したことがないバストの状況に直面されていると思います。
様々なことに対して模索し続けている日々だと思いますが、乳がん治療中、または治療後にどのような下着をつけるべきかご存じでしょうか?
この記事では、乳がんと戦っている方々に向けて、「乳がん用下着の選び方」について詳しく説明しています。是非最後まで読んでいただき、下着選びの参考にしてくださいね。
目次
選び方は「治療内容」と「術後経過」がポイント
乳がん用の下着を選ぶ際にポイントとなってくるのが、
- どんな治療を行ったか
- 手術を行った後、どれだけ時間が経過したか
ということです。
乳がんの治療内容ごとに、適切な下着が異なります。また、手術後、時間の経過とともに着用できる下着が変化していきます。
ご自身の治療内容、術後からどれくらいの時期が過ぎたかを照らし合わせながら、適切な下着を考えていってください。
各治療内容に適した下着とは?
はじめに、治療内容ごとにどのような下着が適しているかを説明していきます。
- 乳房全摘術
- 乳房温存術(部分切除)
- 腋窩リンパ節郭清
- 乳房再建術
の4つの治療内容に分けて説明しているので、ぜひ参考にしてください。
乳房全摘術の場合
乳房全摘手術の場合、乳房のふくらみが無くなってしまいます。乳房に元からボリュームがある方の場合、片方の乳房が無くなることで、体のバランスが大きく崩れてしまう恐れがあります。
よって乳房の重さを補うパッドや、そのパッドを入れることができるポケットのついた下着を着用することがオススメです。
乳房温存術(部分切除)
切除した後、大きく形が変わらなければ、傷跡が落ち着いた後に通常の下着を着用することができます。
ただし切除部分が大きく、部分的に下着がフィットしなかった場合は、パッドで補正することも可能です。
腋窩リンパ節郭清
リンパの流れが悪い場合があるため、締め付けや食い込み方が強い下着の着用は避ける必要があります。
締め付け感が少ない、リラックスできる下着を選びましょうね。
乳房再建術
再建後の乳房は非常にデリケートであり、再建した乳房が安定するまで1年ほどかかるとされています。また再建した乳房が安定していないため、皮膚も拡張する可能性もあります。
そのため、乳房再建術後に下着をつける場合は、乳房に対して影響の少ない「ノンワイヤーブラ」を使用する方がよいでしょう。
ワイヤーが入っていないブラジャーであるため、伸縮性が高くバストのボリュームの変化に対応することができます。
また乳頭も再建した場合は、下着と擦れることにより痛みを感じる場合があります。トップと下着の間にコットンなどを入れて摩擦を減らしたり、トップに余裕のある下着を選んだりして、痛みを軽減させていきましょう。
術後経過とともにどんな下着が使用できる?
次に、術後経過に合わせて着用できる下着の変化について解説しています。
- 手術直後から1週間以内
- 手術1週間以内から1ヶ月以内
- 手術1ヶ月以降
の3つの期間に分けて紹介しています。
術後の経過時間ごとの解説になっていますが、傷の治り具合を一番に考えながら参考にしていってくださいね。そうすることで、体に負担がかからずに下着選びをすることができます。
手術直後から1週間以内
手術直後から1週間以内の方に適している下着は、放射線治療中や治療後の方にも適した下着でもあるといわれていますので、ぜひ参考にしてみてください。
まず、着脱がしやすい前開きの下着がオススメです。また手術部位をしっかりと覆って保護することができる、胸元の開きが小さい下着も適しています。
そして締め付けが少なくゆったりしている、ノンワイヤーのものを選びましょう。締め付けが少ない下着とは、体に圧迫痕が残らないぐらいの強さをいいます。
綿などの、肌に優しく汗の吸収がよい素材の下着もオススメです。
最後に重みのあるパッドの使用は、体に負担がかかるので避けましょう。胸元が気になる方は、パッドの代わりにガーゼやタオルなどを挟んで対応しましょう。
手術1週間以内から1ヶ月以内
締め付けが少なくゆったりしているノンワイヤーの下着を選ぶようにしましょう。不快感がなければ、軽量のパッドを使用してもよいとされています。
カップ付きのキャミソールも使用できます。
手術1ヶ月以降
術後むくみが残っている場合には、締め付けが少なく、ゆったりしている下着を着用しましょう。
腫れや痛みが落ち着いている場合は、手術前に使用していた下着にパッドを入れて使用することができます。
パッドの重さも軽いものに加え、重いものも使用できるようになります。今までの生活に戻り、体を動かすシーンが増えるため、アンダーをしっかり支えることができ、ズリ上がらない下着を選びましょう。
乳がん経験者のための入浴用下着
乳がんやその他の皮膚に大きな傷跡が残る方に向けて、浴場で着用できる下着が存在しています。同浴者の目を気にすることなく、入浴を楽しむことができます。
また乳がん以外の方も、浴場で使用できる下着の存在について認知し、乳がん患者さんが気兼ねなく入浴できる環境づくりへ理解の促進が求められています。
パッドについて詳しく解説
乳がん患者さんは体のバランスを保ったり、下着とバストの隙間を埋めるたりするために、パッドをよく使用されます。
パッドについてここからは詳しく解説しています。
市販のパッドは様々な素材がある
市販されているパッドは、シリコン・綿・ウレタン・スポンジ・ジェルなど、様々な素材のパッドが存在しています。各素材で機能性が異なります。
自分の手術内容や術後経過の状況に照らし合わせ、体に負担のないパッドを選んでみましょう。
シリコン製のパッド
触った感触が乳房に近いパッドです。また重さもしっかりあります。通気性はありません。
シリコン製のパッドの中には、肌に直接貼ることができるタイプの商品も存在します。肌に貼ることで、よりリアルなバストを演出することができます。
ただし、皮膚に貼るパッドは手術の傷が治ってから使用するようにしましょう。装着中に皮膚の異常が発生した場合は使用を中止してください。
また長時間の装着も肌に負担がかかるため、睡眠中は外すようにしましょう。
加えて、皮膚に貼るパッドは入浴に対応していない作りをしているため、お風呂に入る際は外す必要があります。
綿・ウレタン・スポンジ製のパッド
シリコン製のパッドに比べると安価である場合が多くなっています。また軽量で洗うことができるため、清潔にパッドを保つことができます。
ジェル製のパッド
ジェル製のパッドは、ある程度パッドの形を変化させることができます。そのため、体のラインに合わせてパッドを装着することができます。ただし、通気性はありません。
パッドを手作りするという選択肢も
パッドを自分作るという選択肢もあります。パッドを作る方法はいくつかあります。
例えばストッキングを丸めたり、ストッキングの中にビーズや手芸用の綿を入れたりして作ることができます。
その他にも、冷やしていない保冷剤をパッドとして下着に入れる方法もあります。
布や編み物からパッドを作っている方もおられるので、既製品のパッドが体に合わない方は、手作りをして「こだわりのパッド」を手に入れてみてもよいかもしれません。
手術後に下着を着用する必要性
乳がん治療後に下着を着けなければならない理由について3つ説明します。
手術した部分の保護
日常生活で胸に衝撃がかかった際、下着やパッドが緩衝材の役割を果たし、手術を行った部分を保護することができます。
外見を整える
治療後に胸の左右差が気になって、人前に出るのが辛くなってしまう場合があります。その際に、下着やパッドで左右差を無くし、服の上から見てもバストの形に違和感がないように整えてあげることで、自信を持ってお出かけできるようになります。
左右のバランスを整える
乳房の重さに左右差が生じてしまうと、肩の高さが変わったり、ふらつきを感じまっすぐ歩けなかったりなど、体のバランスをとることが難しくなる場合があります。
そして、長期間そのまま偏った姿勢を続けてしまうと、筋肉の使い方に左右差が生じ、背骨が曲がったり、肩こり、頭痛、腰痛の原因になったりしてしまう可能性があります。下着やパッドを着用して体のバランスを整えていくことが大切です。
まとめ
乳がん後に適した下着は、治療内容と術後の経過期間によって異なることがわかりました。
また乳がん患者さんに必須のパッドには様々な種類が存在し、素材ごとに機能性が変わってくるため、自分の体に合ったパッド選びをしていきましょう。
既製品のパッドが体に合わない方は、パッドを手作りするという選択肢もあります。
乳がん治療後に下着を着用するということは、外見を整えたり、体のバランスを整えたりするだけではなく、自信を持ってこれからも生活してくために必要なことです。 乳がん用下着にお困りの方は、ぜひこの記事を参考にしていってくださいね!
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