乳がんになっても負けない! 自分らしさを取り戻すための乳房再建術

豊胸 / 美容整形

日本人女性の乳がん罹患数は増えている!

日本人女性の部位別がん罹患数1位は乳がんで、現在もその数は上昇しており、2020年予測はなんと92,300人[注1]と非常に高い数値で、数値からも多くの女性が乳がんにかかっているとわかります。

患者数は40〜50歳代が最も多いのですが、35歳未満の若い年代の若年性乳がん患者も増加しています。近年は芸能人が乳がんを公表したりしているので、私たちにとって乳がんは「非常に身近ながん」と認識されていますね。

令和2年の乳がん死亡数は14,650人と、罹患数だけでなく死亡数も増加傾向です。人口10万に対する死亡率も1965年から右肩上がりです。

死亡率は増加傾向にありますが、部位別がん死亡率は意外にも5位と、他の部位のがんよりも低い順位でした。[注2]乳がんは身体の表面に近いところに発生するので、セルフチェックや健康診断で発見できる可能性が高く、早い段階で乳がん治療を受ける人が多いからです。

乳がんは、早期に発見し、適切な治療を受ければ治る可能性が高いことが近年知られておりますので、日々のセルフチェックや定期的な検診は怠らないようにしましょう。

いざ治療してみると・・・乳房喪失で自信も喪失

もし乳がんになった場合は、治療をする必要があります。

乳がんの治療方法は、手術療法、放射線療法、薬物療法などいくつか種類がありますが、一般的には、がんのステージや身体への広がり方によって治療方法が決定していきます。

3cm以上の大きなしこりや、薬物療法をしてもがんが小さくならない時、乳房の広範囲にがん細胞がある場合は、一般的には乳房温存療法が難しく、「全摘」と呼ばれる「乳房切除術」が第一選択治療になります。

この施術は、患部がある乳房を外科手術で取り除くので、術後には乳房が取り除かれた状態になります。

術後の自分の体を見て、乳房喪失感で心を痛める方が多く、その結果、手術で一命を取り留めても、自分の体に自信が持てずに生活の質(Q O L)が低下する人が多いのが事実です。

自信を取り戻すための乳房再建術

乳房切除術による治療で失われるのは、患者さんの乳房という体の一部と健全な心です。

乳房を失うという喪失感だけでなく、ドレスや水着など胸の形が強調されるような服装ができない、温泉に入ることができないなど、様々なストレスを感じるようになります。

乳がん罹患数の増加により乳がんの治療をする人も増えたため、上記の乳房切除術後の生活の質の低下に悩む人は本当に増えています。

同時に失われた乳房と健全な心を取り戻したい、乳がん治療後も自分らしく前向きに人生を過ごしたいという人も増えており、近年では、「乳房再建術」に注目が集まっています。

乳房再建術とは、乳房切除術によって失われた乳房をできる限り復元する施術になります。乳房を再建することで、乳房喪失感を軽減し、身体への自信を取り戻すことができることから、乳房切除術で低下した生活の質を向上させることができます。そのため、乳房切除術と乳房再建術の両方の施術を選択するケースが増加しています。

また、全摘せず乳房温存療法で手術した人の中に、術後の乳房の変形が気になる人や、温存した乳房にがんが局所再発して再手術で乳房切除術を行なった人が一定数おり、その後の生活の質の向上のために乳房再建術を希望する人がいます。

さらに2020年の厚生労働省保険局による保険改定で、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の乳がんに対する予防的乳房切除及び乳房再建術が保険適用の対象になった[注3]影響で、HBOCと診断された人の中から乳房再建術を希望する人も年々増加しております。

乳房再建術の種類・費用は?

乳房再建術は、手術するタイミングや手術法が数種類あり、がんのステージや治療の内容によって、適した手術の時期や方法を決定します。

再建手術の時期は大きく分けて2つで、乳房切除術と再建手術を同時に行う「一次再建」と、乳房切除術後、しばらく時間をおいてから再建手術をする「二次再建」があります。

一次再建は、乳がん切除と同時に乳房の再建を行うため入院・手術が1度で済むこと、乳房喪失感を極力感じさせない利点があります。二次再建は、乳がん切除後に抗がん剤治療など補助療法を選択し、その治療が落ち着いた段階で(一般的には乳がん手術の数ヶ月~数年後)に行います。時期はがん治療の内容に左右されるため、自分の希望を通すことは難しい場合もあります。

乳房再建の方法は、大きく分けて「自家組織再建術」、「人工物(シリコンインプラント)再建術」、そして「脂肪注入再建術」の3種類になります。

なるべく自然な乳房に・・・自家組織再建術

自家組織再建術は、腹部、大腿部、臀部、背中などから自分の組織を大きく切り取って移植する方法で、筋肉を温存して脂肪のみを血管付きで移植(穿通枝皮弁)したり、筋肉を移植(筋皮弁)して再建していきます。

穿通枝皮弁はだと比較的自然な乳房を再建することが可能ですし、人工物と違ってメンテナンスも不要です。
人工物より自然で安全ですが、手術時間が10時間以上と非常に長いこと、乳房以外にも大きな傷痕が出来てしまうため、すぐに日常生活に戻ることができないのが注意点です。

身体への負担を少なくしたい・・・人工物(シリコンインプラント)再建術

人工物(シリコンインプラント)再建術は、乳房切除術のときにできた傷で再建手術を行うため、新たな傷ができません。

自家組織再建術のように正常な部分に傷をつける必要もなく、手術時間は2〜3時間程度で、自家組織再建術と比べると体への負担は少ないのが利点です。

人工物であるため、乳房の見た目や触感が多少不自然になること、メンテナンスの必要があるため定期的な通院が必要など注意点はありますが、ライフステージにあわせてシリコンを後から抜き取ったり、入れ替えすることも可能です。

自家組織再建と人工物再建の利点が欲しい・・・脂肪注入再建術

脂肪注入再建術は、皮下脂肪を太ももや腹部などから採取し、その脂肪細胞を胸部に注入する方法です。この施術は、「自家組織を使用」、「少ない傷痕」、「施術時間が短い」、自家組織再建術と人工物再建術の良いところをあつめた施術になります。

ただ、一度に沢山の脂肪を注入することができないため、複数回の施術が必要で、費用と時間がかかります。デメリットはありますが、一回の施術時間が短時間であること、身体への負担は非常に少ないことから、近年はこの再建術を選ぶ方が増えてきています。

乳房再建術の費用は高いの?・・・健康保険適用の場合もあり!

2013年7月から、乳がんの全摘手術後の乳房再建に使う人工乳房は保険適用になっています。[注4]全摘した患者さんに対する乳房再建に限りですが、自家組織再建及び人工物再建(インプラントは保険適用対象製品を用いた場合のみ)とも、健康保険と高額療養費制度の活用によって、実質的な自己負担額は10万円程度(一般の収入の現役世代の場合)になります。

脂肪注入再建術は現時点では残念ながら保険適用ではないため、費用の全ては自己負担になります。気になる費用は100万円以上と非常に高額になりますが、メリットを考えたら費用対効果は高いかと思います。

自家組織再建術、人工乳房再建術、脂肪注入再建術のどれにもメリットとデメリットがありますので、どの方法が自分に適しているかを医師と入念に相談しながら検討すると良いでしょう。乳がんになっても、乳房を失うことを恐れず治療を受け、治療後のより人生を自分らしく過ごすために「乳房再建術」という選択があることは心強いですね。

出典

[注1]がん情報サービス(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター運営) がんの統計2021

[注2]厚生労働省 令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況

[注3]厚生労働省 令和2年度診療報酬改定説明資料等について

[注4]厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会(第243回) 議事次第

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